「大船渡市の縄文土器ほぼ全部展」に行ってきた

2023年2月に縄文土器の企画展示に行ったときの話を、2ヶ月経っても下がらない熱量で話します。

「大船渡市の縄文土器ほぼ全部展」に行ってきた

毎週月曜更新ということで、来週は何を書こうかな~とぼんやり考える日々です。今回は「今週誰かに話したこと」という切り口で、近所の博物館の縄文土器企画展示を見に行った話をしようと思います。実はこれ2ヶ月前の話なんですけど、今でもしょっちゅう話題に出してしまうほど熱量が全然下がらないので、ブログでも書いちゃおうと思いました。

近所の博物館で縄文土器の企画展示があった

2023年の1月末から寒波の影響で水道管が破裂してしばらく断水生活をしていました。平日は家にあまりいないので特段困ることもなかったのですが、休日は家にいるので、朝一番のうんこのために近所を散歩してから公衆便所でキメることで節水をしていました。

観光地なので景色もなんかよいんですよね。そこでうんこもしちゃうわけですから気分は上々。そして帰宅途中に博物館の前を通りかかって、そういえば前から行きたかった企画展示の真っ最中だったことに気づきます。

東北に来て良いことの一つは縄文遺跡が桁違いに多いことで、縄文人が多く生活していた海沿いなんかはもう最高です。僕は歴史時代よりも先史時代だったり、もっというと人類進化そのものに興味が強いので、縄文もめちゃくちゃ大好きです。縄文系のイベントは目に入るとホイホイ行ってしまいます。今ぱぱっと調べても2018年に東京国立博物館の縄文展にも行ってますね。あれはよかった…。

「大船渡市の縄文土器ほぼ全部展」ですが、大船渡市で出土した縄文土器350点一斉展示というかなり気合の入った内容です。開館40周年企画とからしいです。

市内には、約200か所の遺跡が知られており、その多くが縄文時代の遺跡です。発掘調査が行われた遺跡では、たくさんの縄文土器が見つかっています。それらの中から、全体の形がわかるものほぼ全部(約350点)を一堂に集め、展示します。
特別陳列「大船渡市の縄文土器ほぼ全部展」開催 - 大船渡市ホームページ
市立博物館・図書館・魚市場が連携した縄文に関する展示を開催

縄文のテクノロジーと生物学

企画展示に行く前に常設展示されている中で好きなのは釣り針の展示です。隣を写し忘れてますが、現代の魚種ごとの釣り針と比較する形で展示されてます。縄文時代に釣り針のデザインというのはすでに完成されていてすごく好きですね。

釣り針のの話はジョージ・C・ウィリアムズの『生物はなぜ進化するのか』でも自然選択が作り出す機能的デザインの例として触れられています。要はたくさんの釣り針が作られていく中で結果的によく釣れるものが選択されていき、どの地域、どの文化でも釣り針はこのような形に収束していくということですね。まさに生物の自然選択です。

生物学の関連では、博物館内の解説で面白いものがありました。

縄文土器の各部位は人体になぞらえて名付けられているそうです。ここは少し気になったので帰宅してから調べたのですが、松本彦七郎という古生物学者が時の編年に系統発生の考え方を導入したからだそうなんですね。そして松本の方法を引き継いだのがよく名前が出てくる山内清男です。

系統学が生物の形質を手がかりに生物進化を追うように、土器を生物と捉えて各部位の特徴の変化から土器の系統関係を追うというアイデアというわけですね。これはすごく面白くて、勉強になりました。

参考:

F1 関東地方の縄文土器
関東地方の縄文土器

ほぼ全部を見る

企画展は博物館内の一室で行われていました。小さな一室に縄文土器がびっしり!

中期の遺跡は円筒式土器が多い印象でした。長細いバケツみたいな形の土器で、断水生活をしていたので「これめっちゃ水貯めるのに便利じゃん」みたいに思いながら見てます。

注口土器も生活感がにじみ出ていて好きです。形状もかなり違っていて、製作者のデザイン意図とかどういう感じで使われていたのか気になります。

縄文人のアスファルト利用

もう一つびっくりしたのが、アスファルトが詰められた状態で発見された土器の展示です。

土器担当の学芸員さんが休みだったので帰って自分で色々と調べていたのですが、下記のサイトがわかりやすくかったです。

https://www.isan-no-sekai.jp/report/3925

北海道の原産地から海沿いのルートで太平洋沿岸に到達しているルートは想像が膨らみますね。縄文人がダイナミックに移動して交易を行っていたことはよく知られていますが、土器の修繕や漁労具の塗装など使い道の多い素材が動いているのはなんだか面白いですね。商社マンみたいです。弥生時代以降に一気に減少していくのは、鉄に置き換えられていったからなのでしょうか。

もっと縄文をすこれ

縄文に関しては話したいことや考えたいことが山ほどあるのですが、とりあえず近所の企画展示最高だったという話でした。そもそも縄文がなぜ好きかというと、人類に対して強い興味を持っているからで、人類について知る上でほとんどの進化的時間を過ごしてきた狩猟採集文化から得られるものが多いのではないかと思っています。このあたりももっと掘り下げていけたらいいなと思います。


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